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メルマガ「シマサト」1月12日号

  • 2016年02月4日

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「日本はもっと良くなるはずだし 良くならなくてはならない  嶋さとし」

 

年の初めに考える・・GDP 600兆円は大風呂敷か?

 

日本の一人当たりGDPはシンガポール、香港に抜かれた。

2020年、GDP600兆円という大風呂敷な目標実現に向かうべきである。

そのためにはIoT革命による「製造業復権」が鍵となる。

─∞  目 次  ∞───∞───∞───∞───∞───∞───∞───∞───∞

1.日本のGDP

2 IoT革命に集中せよ

3.シンガポールに抜かれ、韓国に迫られる日本

4..製造業復権が「インダストリー4.0」の目標

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1.日本のGDP

 

明けましておめでとうございます。

本年は丙申。丙は「火」で太陽を現す。隅々が照らされて、陽気が強く、積極的で活発。物事が明らかになり、今までいい加減にしておいた物事がはっきりしてくる。そこで行動的になる年であるといわれる。

 

安倍首相が14年度で491兆円である日本の名目GDPを20年度に600兆円にするという目標を掲げた。今年はこれが実現できるかどうかはっきりする年になる。実現には、実質GDPの成長率が18年度2.6%、その後も2%を越えることが条件となる。目標値は名目なので、消費者物価の上昇率の想定を見ると17年度3.1%、それ以降は2%が続くことになっている。

IMFの予測では2020年の日本のGDP予測は530兆円。600兆円は明らかに「大風呂敷」な目標である。経済界首脳からも実現不可能との声が多く聞かれる。だが、私は首相が大風呂敷な目標を提示したことは評価する。後は、「有言実行」でこれを実現すべくリーダーである首相に迫ることだ。

1月4日から国会が始まった。松下幸之助塾長は「政党は互いに非難中傷する競争をするより、国民にいい政策を訴える競争をすべきだ」と言った。ここは、野党もいかにしたら、600兆円という目標を達成できるかという政策を提示して、政策競争をすべきと思う。

 

2IoT革命に集中せよ

 

もし、私が今、政治家だったらどうするかは明確である。世界の大きなトレンドである第4次産業革命に日本経済をいかに乗せるかに政策を集中するのである。

世界を覆うのは第4次産業革命というべき、大きなうねりである。19兆ドル。米シスコ・システムズは、インターネットが様々なモノをつなぐことで、10年間にそれだけ巨額の経済価値を生み出す、と試算する。IoT(インターネット・オブ・シングズ)やAI(人工知能)は、今後どのくらい加速するか想像もつかない。

 

21世紀初頭は「IT革命」、これから2020年代は「IoT革命」の時代となる。20世紀初頭に森首相は「IT革命推進本部」をつくり、日本にIT革命を促した。ITを「イット」と読んだとか揶揄されたが、時の首相がIT革命に進むという方向性を示したことは評価されていい。

IT革命推進本部の議論が契機となり、NTTの通信回線が開放され、インターネットが普及した。それが携帯電話時事業を発展させ、スマホ革命で情報通信事業を飛躍させ、ライフスタイルを変えた。次はIoT革命である。

 

ドイツはインダストリー4・0、アメリカはインターネット・インダストリーと第4次産業革命、IoT革命に国家政策として協力に推進している。ドイツではシーメンスやボッシュなどが中心となり、IoTに関する独自規格をつくって、主導権を取ろうとしている。

米国IoT団体の代表格がIICだ。IICは4・0と異なり、海外企業の参加も可能だ。世界の優良企業を集め、世界標準にしようとしている。

 

3.シンガポールに抜かれ、韓国に迫られる日本

 

年末にショッキングなニュースがあった。日本の一人当たりGDPが2014年にOEGD内で20位となり、統計が確認できる1970年以来最低になったのだ。1970年といえば、大阪万国博覧会の年である。

もはや経済成長はいらないという意見もあろうが、国民の生活水準を示す一人当たりGDPを伸ばそうというのに異論がある人はなかろう。

私が初当選した1996年頃は一人当たりGDPは、世界第3位だった。2009年、民主党が政権交代したとき、民主党に懇意の財界人がいなかったのでアドバイスを求められた。そのときは、円高の影響もあり、一人当たりのGDPが10位ほどだったので「十年以内に一人当たりGDP,世界一をめざすという成長戦略を造るべきと提言したも。

それから五年。もちろん、円安も原因なのだろうが、20位にまで下降し、23位の韓国に近々、抜かれるという話も現実味を帯びている。

ちなみにシンガポールや香港にはすでに抜かれている。12月に京都に行った。豊臣秀吉の妻、「ねね」の菩提寺である高台院で、日本人と間違えるほど着物がよく似合う母・娘がおられた。写真を頼まれたので「どこからですか」と訪ねたら香港からとのことだった。光源氏の旧跡を訪ねていたら父親も含めて、家族6人が着物を着て庭園をにぎやかに歩いておられたのも、シンガポールから来た家族だった。

円安で日本に来やすくなったのだなと思っていたが、なんのことはない、すでに、実質的に日本より豊かになっているのだ。日本も少なくとも一人当たりGDP、アジア1位の座は取り戻すべきであると思う。

 

 

4.製造業復権が「インダストリー4.0」の目標

 

成長戦略を政府が考えるとあれもこれも詰め込んで、結局成果が上がらない。「戦略」とは、「戦い」を「略」することである。

IoT とは、モノがインターネットに相互接続されることである。健康管理されるとかサービス面が強調されることが多いが、実はドイツの、インダストリー4.0は産業の空洞化対策、製造業の復権をIoT でなすことが戦略目標である。

 

ドイツでも、日本と同様に新興国の安い労働力による低価格攻勢、IT革命による急速なキャッチアップでの産業の空洞化が進んでいた。それをIoT を製造プロセスに応用して、ネットワーク化し、製造プロセスをスマート化することによって、ものづくり産業を復活させようとしているのである。

 

成長戦略というと、グーグルやフェイスブックのようなIT企業を育てる日本版シリコンバレーをつくろうとか、東京を金融センターにしようとかいう提案がよくある。しかし、国際ビジネスを経験した私からすると、IT関係はシリコンバレーにかなわないし、金融もイギリスにはかなわない。やはり、日本が特異なのはドイツと同じようにモノづくり産業、製造業なのである。

ドイツが、インダストリー4.0で製造業復権をめざすように、日本もIoT による製造業復権を戦略目標とした「成長戦略」に集中すべきである。

 

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嶋聡

2016.1.12号 NO.13

株式会社嶋総合研究所 03-6811-6081

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