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メルマガ「シマサト」1月19日号

  • 2016年02月4日

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「日本はもっと良くなるはずだし 良くならなくてはならない  嶋さとし」

 

300年続く企業になるには?

 

1月10日の日経新聞に孫正義社長の「300年成長を続ける企業へ」が掲載されました。

これを機に「300年続く企業、組織」になる為に大切な事を考えました。

 

─∞  目 次  ∞───∞───∞───∞───∞───∞───∞───∞───∞

1IoT の時代に布石を打つのが太公望兵法

2. 200年長寿企業の4割が日本に

3. 松下幸之助250年、孫正義300

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1.IoT の時代に布石を打つのが太公望兵法

 

早いもので1月も半ばを過ぎました。年末には「参議院選挙があるので、それまでは株価を上昇する」などという予想がありましたが、マーケットは大波乱を起こしました。北朝鮮は水爆実験が行われる、米軍は戦略爆撃機を朝鮮半島に飛ばすなど、これも大波乱の予感がします。

こういう大波乱のときに思い出す孫社長の言葉は「迷ったときほど、遠くを見よ」というもの。荒れた海で船に乗っているとき、近くを見ていると船酔いしてしまう。「遠くを見ていれば少々のことは誤差になる」というのが、荒海の乗り切り方です。遠くを見れば、第4次産業革命の曙光が見えています。

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さて、1月10日の日経新聞に「300年成長を続ける企業へ 孫正義氏」というインタビューが掲載されています。

「会社の寿命は個人の寿命よりはるかに長くなければならない。僕は300年くらいは伸び続ける企業にしたいと思っている。今はその構えを作る道半ばだ。成長を続けるため、あらゆる言い訳を未然に察知し、解決策を準備し実行に移すことが必要になる」

この「言い訳なし」で結果を出すというのが孫正義流です。特に、私が注目したのは「あらゆる言い訳を未然に察知し、解決策を準備し実行に移すことが必要」というもの。ソフトバンク社長室長時代、これが私の仕事でした。

「孫子」と並ぶ兵書に「六韜三略」というのがあります。太公望の呼び名で知られる呂尚が、周の文王の子、武王を支えたときの兵法所と伝えられます。項羽と劉邦の時代、劉邦の軍師、張良が座右の書としたことでも知られています。

太公望兵法の基礎は、常に先の先まで考え、布石を打つことから始まります。中長期に手順を考え、基礎を積み重ねて行き、すべての物事を未然に始末していく。いざ、決戦の時にはすでに勝負がついており、不思議なほど順調に事が進むという兵法です。

ソフトバンクが携帯電話事業に参入して以来、私はこの太公望兵法に基づき策を巡らしてきました。私の社長室長8年3000日のうちにソフトバンクが売上高1.1兆円から約7兆円へと飛躍するのに、少しはお役に立ったかと思っております。

21世紀の世界経済における最大の出来事となる第4次産業革命の本番が、幕を開けようとしています。

18世紀に起こった産業革命は、蒸気機関の1次、電機の2次、生産工場の自動化の3次を経て、あらゆるものをインターネットにつなぐIOTと人工知能(AI)を融合し、様々な産業で活用する4次となります。この大きな動きに「布石」を打ち企業を成長軌道に乗せうるかどうかがビジネスリーダーに問われています。

 

2. 200年長寿企業の4割が日本 

9月に中国にお招きいただいた際、「お土産に『老舗稲花村』の月餅を買いにゆきたい」と話したところ、「人気で並ばなくてはいけない」と、招いてくださった社長が買ってきてくれました。

北京稲香村食品舗の第一号店は、清代の末である1912年に前門外観音寺に創設されています。

「中国は、革命があったので、長く続いている企業はありません。その中で、『稲花村』は100年以上続いている珍しいお店です」と言われました。

これに対して、創業100年の企業は、日本に約26,000あります。創業200年を迎えている企業が1,200社、そして創業300年を超える企業が600社程度もあります。さらに、創業400年を超える企業が190社、創業500年を超える企業が40社あります。

実は日本は、世界一の長寿企業大国といっても過言ではありません。 実は、世界全体で見ると、創業200年を超えた会社の4割以上が、日本に存在しているのです。孫社長が「300年続く企業を創ろう」と買収したアメリカ、

スプリントで述べたとき、米国のスプリント社員は違和感を持つのではと心配しました。アメリカの建国は1776年。まだ、建国240年の国なのです。 スプリントの社員は、この呼びかけにスタンディング・オベーションで応え、私の心配は杞憂に終わりました。

 

3. 松下幸之助250年、孫正義300

孫社長が300年を越える企業を創ろうというので、日本に創業300年を超える企業がいくつあるかを調べてみました。答えは605社。ちなみに、室町、戦国時代から500年以上続く企業が39社、1000年以上続く企業は7社です。

これらの長寿企業に共通していることがあります。第一に価値観を後継者、社員につないでいくのが上手であること。第二に超長期の視点から人づくりをしているということです。

 

私の師である松下幸之助氏は、「貧困の克服」という使命の実現には多大な年月が必要であるとし、250年間で達成しようと超長期の計画を提示しました。

さらに、経営者らしく250年を十節に分けました。第一節の25年を三期にわける。第一期の10年は建設時代、次の第二期の10年は建設を続けつつ活動する時代。そして、最後の5年間は社会に貢献する貢献時代。これを、十節250年間にわたって繰り返すことによって、この世を物資に満ち満ちた「楽土」とするとしたのです。

松下幸之助の250年に対抗したわけではないでしょうが、孫正義氏は2009年に創業30周年を迎えるにあたり、同様に「第二の創業」を企画し、「新三十年ビジョン」を発表し300年先を考えました。

 

300年先という単位で考えると携帯電話の端末なんていうのは、もうなくなっているかもしれない。回線という概念すらないかもしれません。

300年先を考えるなら、300年前はどうなっていたかを考えるといいとして18世紀を考えました。

 

今から、300年前の18世紀は、英国で産業革命がはじまったころである。産業革命は、筋肉機能の代替と発展であった。そして、300年経過した今、第4次産業革命が始まっています。

もう少し身近に300年続いている上場企業を考えて見ると以下の通りです。養命酒はなるほどと思いますが、住友金属鉱山、三井不動産、三越などが300年続いています。

松下幸之助は住友、三井のような老舗企業が元禄時代(1700年頃)から、社是を文書などにしていることから学び、1932年7月1日に「松下電器の遵奉すべき精神」を「社主通達」として発表したといわれます。価値観をつなぐためと考えられます。

リーダーには3つの責任があります。仕事の完成と仕事の創造。そして企業を持続、発展させるための人材育成、さらには後継者の育成です。孫正義社長はソフトバンクアカデミアを創り、ニケシュ・アローラを後継者候補に指名しました。

 

紀元前七世紀の中国山東省、斉の国の宰相、管子は「衣食足りて礼節を知る」という現実的な政治を実施しました。その管子が「一年の計は穀を樹(う)うるに如くはなく、十年の計は木を樹うるに如くはなく、終身の計は人を樹(う)うるに如くはなし」と言いました。

よく「教育」が重要だというための名言として使われますが私はそれだけではなく、リーダーは、短期、中期、長期の3つの計画を持たなくてはいけないということだと思います。

 

一年の計、「穀」は毎年の仕事できちんと実績を出すこと。十年の計、「樹」は将来のための新規投資をすること。そして最後が人材教育、後継者育成だと思います。ソフトバンクが「300年続く企業」になるかどうかを注視しながら、このメルマガをお読みいただいている皆さんの企業が「300年続く企業」「組織」になることを祈念いたします。

 

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嶋聡

2016.1.19号 NO.14

株式会社嶋総合研究所 03-6811-6081

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